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真田氏が拠点を構えた地、上田。公園として整備された上田城は、今も市街の中心にあり、多くの人に親しまれています。また城を中心につくられた城下町や、北国街道の宿場町として栄えた柳町周辺は、風情が残る町並みとなっており、空き店舗をリノベーションした個人店も点在するなど散策にぴったり。
今回は、街歩き中の立ち寄りにはもちろん、「ここを目的に旅をしたい」と思えるような老舗喫茶やおしゃれカフェなど、厳選した4つのお店を紹介します。
路地裏にある隠れ家カフェ「Mikkeno café(ミッケーノカフェ)」
ミッケーノカフェは、「見つけて」と「カプチーノ」を掛け合わせて名がついた隠れ家カフェ。オープンは2019年で、市街にある聖ミカエル保育園とスドー写真館の間の道を進んだ裏路地にひっそり佇んでいます。
イートインもできる店内は、カウンター席で最大6席ほど。コンセプトは「ボリュームのあるメニューをいっぱい食べてほしい」といい、低価格でお腹いっぱいになる豊富なメニューがこだわりです。
オーナーの宮崎さんは、専門学校で調理を学んだのちバリスタに転身。今ではバリスタ歴のほうが長くなり、カフェで出しているコーヒーも、貴重なスペシャルティコーヒーをセレクトしています。
お店の看板メニューのひとつは、山盛りのホイップクリームが魅惑的な「チョコラテ(写真左)」と「フレンチトースト(写真右)」。チョコレートソースもたっぷりかかり、幸せな甘さが口いっぱいに広がります。
チョコラテはコーヒーが入っているタイプと入っていないタイプとあり、カフェインを控えている方やお子様にも安心。ココアのようなイメージですが、ドリンク自体は甘すぎず、チョコレートのビター感も楽しめます。
テイクアウトできる「カップdeシリーズ」のフレンチトーストは、東御市にあるパン屋「パンドゥース」の食パンを使ったオリジナル。
信州産の牛乳と地元「青山養鶏場」の卵を使ったアパレイユ液に1日以上浸し、フルフル、とろとろになったパンを丁寧に焼き上げます。トッピングはチョコソースのほか、キャラメルとハニー、甘さと塩味の組み合わせが癖になるチーズと、予約限定でハムチーズもあり。優しい口当たりのフレンチトーストにガツンとホイップで、満足度の高い一品です。
もうひとつ人気なのが、ワンハンドで食べやすいコッペパン。常時8種類~10種類、甘いものから惣菜系まで揃う品揃えも魅力です。季節によって限定の味も登場するそうなので、SNSなどを要チェック。
人気は「信州ハム」のソーセージを使った「BIGソーセージ」と、市内にある「富士アイス」のあんこを使った「あんバタ」です。食べ応えあるパンは、岩手県にある「しゅうたろう」というパン屋から取り寄せている国産小麦のコッペパンを使用しています。
またミッケーノカフェでは、廃棄を出さない工夫として、ネット注文できる冷凍パンのお取り寄せ・通販マーケット「rebake(リベイク)」に参画。サイトを通じて知ってくださった方のなかにもリピーターが多いといい、市内のみならず全国にファンを持つカフェです。
可愛いすぎるかき氷など甘味が大人気「雪屋 Conco」
二つ目は、上田駅から徒歩圏内の天神通りにある古民家カフェ「雪屋conco」です。名前の通りふわふわサラサラ、雪のようなかき氷を中心に、どこか昔懐かしい甘味が勢揃い。
2018年のオープン以来、上田の人気店として老若男女を問わず客足の絶えないお店です。メニューのラインナップはスフレパンケーキや焼き芋、たい焼き、パフェなど季節ごとに変化し、新作も続々登場。何度足を運んでも新たな発見があるのも、人気の秘密かもしれません。
店内はテーブル席のみで、古民家の良さを生かしたホッとする設えが特徴的。
地域のハンドメイド作家の作品や駄菓子など、食事以外にも楽しめるコーナーも充実しています。最近増えたものとしては、入り口近く、写真の波のイラストに注目。葛飾北斎の「富嶽三十六景」をモチーフにつくられていて、よく見ると雪屋concoのオリジナルキャラクターが紛れ込んでいます。
紹介するメニューは、子どもたちに大人気の「迷彩もこんこ(写真右)」と、自家製のいちごソースを使った「アイスいちごオレ(写真左)」。
信州の天然水を、ゆっくり時間をかけて凍らせた純氷上上高地氷は、ふわっとやわらかな口当たりのかき氷になります。頭がキーンとなりにくく、迷彩柄を模してかけられた抹茶とキャラメルのソースがベストマッチ。耳になっているプチシューの間には、ふわふわのエスプーマがたっぷりかかっています。別添えの追いシロップをかけながら、最後までおいしく食べられるのも嬉しいところです。
もうひとつは、ホットでも注文できるいちごオレ。かき氷にも使われている自家製いちごソースを信州の牛乳で合わせた一品です。非加熱で仕上げられるフルーツソースは、フレッシュな香りと果肉の食感が特徴で、ドリンクになっても濃厚さは健在。
混ぜながらいただく、スイーツのような飲み物です。さらに、全メニューに追加できるという六文銭のトッピングを追加し、真田氏の赤備えになぞらえて写真映えもバッチリ。サクサクした食感も楽しめます。
また店舗では、ふわっとした独自の食感を生み出す雪屋conco厳選のかき氷マシンの取り扱いを開始しています。暑い季節は、店内で氷を削って食べる体験メニューがあるほか、自宅でも楽しめるよう氷とマシン、シロップセットの宅配サービスも開始されています。
夏らしい甘味を堪能しつつ、季節の移ろいとともに変わるメニューが待ち遠しい。そんなオールシーズン対応の甘味処です。
老舗のレトロ喫茶で寛ぎのひととき「甲州屋」
3軒目は、上田駅のお城口から駅前の通りをまっすぐ進んだ先、「中央2丁目」の信号の角にある「甲州屋」です。1963年に喫茶店としてオープンしたお店ですが、創業はそれより前の江戸時代。店には当時の白黒写真も残る、レトロかわいい純喫茶です。
喫茶の始まりは、森永乳業と提携した「アイスクリームコーナー」。当時はまだアイスクリームが高級品で、特別なときにしか食べられない、憧れの味だったと言います。
窓の青いテープに書かれた「ICECREAM」の文字は当時の名残。今はバニラと抹茶の2種類のアイスクリームを食べることができるほか、まん丸のバニラアイスが乗ったクリームソーダも人気のメニューとなっています。
店内には、レトロかわいいポイントがあちこちにあるので、探してみるのもおすすめです。例えば店名が入ったオリジナルのマッチ箱は、横の印刷も入れて一枚の絵として楽しめたり、灰皿には森永アイスクリームと提携していた時代からのプリントがされていたり。
どんどん変わっていく街の景色を横目に、変わらぬ時間がゆっくり流れているような、ちょっと不思議な空間が甲州屋の魅力です。
今回紹介するメニューは、隠れ人気の自家製トマトソースを使った「ピザトースト(写真右)」と、二層に分かれた見た目がSNSで話題を呼んでいる「アイス カフェ・オ・レ(写真左)」。
素材はなるべく良いものを使うのがマスターのこだわりで、先代からの味を大切に守り継いでいます。トマトや玉ねぎ、ピーマンなど野菜がたっぷり使われたピザソースは、シナモンをはじめ、風味豊かなスパイスが隠し味。明確に決められた分量はなく、大きな鍋でたっぷり仕込むのがおいしさの秘訣なのだとか。
アイス カフェ・オ・レは「懐かしさのなかにも、より良い変化を」と、今のマスターが考案したメニュー。コーヒーは店で提供しているホット同様、ネルドリップで丁寧に淹れて冷やすこだわりの味。シロップを入れて甘くすることで重さを出し、二層になるよう計算されています。ゆっくり混ぜて飲む贅沢な時間、優しい甘さが嬉しい映えメニューです。
喫茶店のオープン時間は、ゆるりと決められた「だいたい10時」。カウンターでは常連さんのお喋りが弾み、新聞を読んだりコーヒーを飲んだり、それぞれの1日が始まっていきます。肩肘張らない日常の雰囲気も、ふらりと店を訪れたくなる理由かもしれません。
大きな焙煎機で自家焙煎「亀山珈琲焙煎所」
最後は甲州屋からもう少し北に進み、「中央3丁目」の信号を右折したところにある「亀山珈琲焙煎所」です。会社員から心機一転、2019年に店を開いたマスターが提供するのは、珈琲を通じてホッとする時間とたくさんの珈琲との出会い。
店の奥には大きな焙煎機が置かれ、外までいい香りが漂います。カフェというよりは、その場で珈琲も飲める珈琲豆屋。2種類のオリジナルブレンドと9種類のレギュラーメニュー、期間限定も含めると、常時13~15種類の珈琲豆が店頭に並んでいます。
レギュラーメニューは日本で広く親しまれる王道が多く、一番人気はグアテマラ。昔からある深めの焙煎で、ガツンとした苦味が楽しめるものと、浅煎りでフルーティさを引き出すようなもの、どちらもあるのがこだわりです。
種類豊富な理由は、より多くの人に珈琲に触れ、楽しんでほしいから。時には最新のトレンド豆も取り入れながら、「珈琲を始めたい人」に寄り添います。
また店では、ドリップ体験や焙煎体験、珈琲に関する講座が日々行われているのも特徴です。焙煎体験では、自分で焙煎した豆をオリジナルのドリップバックにして持ち帰りも可能。ラベルデザインもできるので、ギフトやお土産にも喜ばれています。
紹介するメニューは、暑い季節限定のすっきりした味わいが嬉しい「水出しアイスコーヒー(写真左)」と「自家製プリン(写真右)」の鉄板の組み合わせ。アイスコーヒーは、急冷式に対応するものであれば銘柄を選んで注文もでき、たっぷり大きめグラスで楽しめます。
自家製のプリンは、しっかり硬めのクラシカルな食べ心地。甘すぎず苦すぎず、珈琲を一層楽しめるような味わいが魅力です。また店では、貴重な本格エスプレッソマシンを導入していて、それを使ってつくられるエスプレッソやカフェラテ、アフォガードもおすすめのひとつ。
とくに自分でエスプレッソをかけて食べるアフォガードは、バニラアイスに負けないコクと香り、珈琲の良さがギュッと濃縮された味わいが楽しめます。
豆の入荷や講座の情報は各種SNSやホームページをチェック。「ちょっと興味はあるけれど」という珈琲初心者も安心な、豊富な知識と品揃えで、おだやかな笑顔のマスターが出迎えてくれます。
上田市街を彩る個性的な4店舗。めぐってみたら新たな上田を発見したり、新たな趣味が見つかったり、少しだけ日常がカラフルになるような素敵な出会いが待っているかもしれません。観光にも休息にも、ふらりと足を運んでみてはいかがでしょうか。
INFORMATION
Mikkeno café
- 住所
- 上田市中央3-15-9
- TEL
- 080-6801-0086
- 営業時間
- 9:30~16:00(イベントにより変更あり)
- 定休日
- 日・月曜日(イベントにより変更あり)
- 関連サイト
- Mikkeno cafe
甘味処 雪屋conco
- 住所
- 上田市天神1丁目3-3
- TEL
- 090-8843-8898
- 営業時間
- 11:00-19:30(L.O.18:00)
- 定休日
- 火曜日+第2・第4水曜日(3-9月)/火・水曜日(10-2月)
- 関連サイト
- 雪屋Conco
甲州屋
- 住所
- 上田市中央2丁目2−14
- TEL
- 0268-22-0001
- 営業時間
- 10:00頃~18:00頃
- 定休日
- 火曜日