
上田城を中心に城下町が築かれ、「和」のテイストが似合う上田の街。どこか懐かしい空気が漂い、その風情は、国内外から多くの注目を集めています。
今回は上田市の伝統工芸品・上田紬の着物を着て、和を体感する街歩きに出かけます。
「ゆたかや」で上田紬の着付け体験
上田紬の着付け体験を提供しているのが、呉服店「ゆたかや」です。創業は昭和37年(1962年)。長年にわたって地域に愛されているお店で、母・娘二代にわたるお嫁入りや、お子さん、お孫さんの七五三など、家族の節目の着物も充実しています。
2025年12月には、上田・菅平インター近くの新店舗へ移転オープン。
アンティークフォトスタジオ「hataoto」を併設するなど、ますますパワーアップしています。(※撮影は旧店舗で行いました)

レンタルをして街歩きを楽しむ「上田紬」は、今から400年ほど前、戦国武将の真田昌幸が地場産業として奨励した「真田織」をきっかけに始まったとされる紬です。
江戸時代には、3回裏地を変えても破れないほど丈夫な「三裏紬」として、実用性の高い庶民のオシャレ着として親しまれてきました。

こうした上田紬の素晴らしさや美しさ、着心地を、実際に体験してもらいたいとの思いで始まったレンタルは、誰でも気軽に、手ぶらで体験できる人気のコンテンツです。
メンズサイズからレディースまで、色合いもさまざまな上田紬の着物が揃い、帯や小物と合わせながら、好みの一着を探すことができます。

組み合わせに迷う時は、知識豊富な店員さんに相談に乗ってもらえるのも嬉しいところ。自分では選ばないような色や柄に挑戦する機会にもなりそうです。
上田紬のレンタルは事前予約制なので要注意。今回はすべてレンタルをして体験しましたが、写真撮影などをこだわりたい方は、髪飾りやポイントメイクなど必要なものを持参しても良いかもしれません。

着物はシャリッとして心地がよく、慣れない足捌きでも着崩れしない安心感があります。しっとり落ち着いた装いに、背筋もピンと伸びるようでした。
ゆたかや
上田紬で街歩き
上田城跡公園/眞田神社
お散歩日和の天気に誘われて、最初に向かったのは「上田城跡公園」です。天正11年(1583)に築城された平城で、建てたのは真田昌幸公。

現在は、市民からも観光客からも愛される公園として整備され、江戸時代から現存する西櫓(県宝)や、昭和24年(1949)に復元された南櫓・北櫓、平成6年(1994)に復元された東虎口櫓門と、土塁、石垣などを見ることができます。

東虎口櫓門横の石垣には、「真田石」と呼ばれる直径3mの巨石が。
フォトスポットでもあり、近くの立て看板には、石にまつわる伝説も書いてあるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

櫓門を通ったら、そのまま正面にある「眞田神社」へ参拝に向かいます。
歴代の上田城主、真田氏・仙石氏・松平氏を御祭神としている神社で、徳川勢との二度の合戦に負けなかった「不落城」にある神社として、受験生などを中心にパワースポットとしても知られています。


境内にある絵馬をかける場所がとてもフォトジェニックなので、ぜひ中を歩いてみてくださいね。

取材に訪れた10月末は、公園内の市立博物館近くにあるイチョウの木が色づき始めていましたが、春には桜、夏にはケヤキの並木、秋には紅葉と、冬には稀に雪景が楽しめる公園です。
お気に入りスポットを探して、散策をしてみてはいかがでしょう。
上田城跡公園
上田市立博物館
住所:上田市二の丸6263-イ
電話:0268-22-1274
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
料金:上田市立博物館・上田城櫓門/各300円・セット券500円
定休日:水曜、祝日の翌日、年末年始
上田城櫓門
住所:上田市二の丸6263-イ
電話:0268-22-1274
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
料金:上田市立博物館・上田城櫓門/各300円・セット券500円
定休日:水曜、祝日の翌日、11月中旬~3月
百余亭
次に向かったのは、上田城跡公園から程近い場所にあるお茶処「百余亭」です。立礼席で気軽にお抹茶を楽しめるお店で、しっとり落ち着いた雰囲気もたまりません。

店主こだわりのお抹茶は、どろりと濃く練られた「濃茶」と、泡を立てるように立てられた「薄茶」の2種類。この日いただいたのは、薄茶のセットです。

添えられている上生菓子は、上田市内の御菓子処「千野」さんのもの。このときは、紅葉の景色を模した彩り豊かな菓子で見た目がとっても可愛らしいお菓子でした。

趣ある雰囲気に緊張してしまいそうになりますが、お抹茶のお作法は知らなくても大丈夫。「気軽に楽しんでいってね」と声をかけてくれる店主さんのおかげで、ホッと安らぎの時間を過ごすことができました。

綺麗な庭園を眺めながら、楽しいおしゃべりも。ここも写真を撮るのに良さそうです。

奥にあるお茶室「香庵」は、予約制で本格的なお茶会の体験ができるそう。気になる方はホームページから詳細をご覧ください。
百余亭(ひゃくよてい)/香庵(こうあん)
まち歩き(柳町/袋町)
お茶の時間を楽しんだあとはまち歩きへ。まず向かったのは古き良き町並みが残る「柳町」です。

日本酒の酒蔵やワイナリー、パン屋、味噌屋などが軒を連ねる柳町。軽食や昼飲みが楽しめるお店が点在し、食べ歩きにもおすすめの通りです。
▶特集記事「“上田城下町の台所”「柳町で発酵食をめぐる」はこちら

銘酒・信州亀齢(きれい)の醸造元で、寛文5年(1665年)から続く「岡崎酒造」。
飲みやすい甘口の日本酒は店頭に並ぶ機会が少ないほどの人気ですが、だからこそ、上田のお土産におすすめの逸品です。

上田市一の歓楽街「袋町」。昼間に足を運んでも楽しいフォトジェニックな看板がずらりと並びます。
歓楽街と着物という異色の共演も意外と絵になります。

路地裏では猫と遭遇。昼間に開いている店は多くありませんが、B級ご当地グルメ「あんかけ焼きそば」が食べられるお店や古き良き喫茶店などが近くにあるので、少し上田を冒険してみたい方にはおすすめの町かもしれません。

こちらは「長野県立上田高等学校」にある「古城の門」。江戸時代にあった上田藩主の居館の表門を再建したものです。
門の周りにあるお堀では、亀がのんびり日向ぼっこをしていました。
飯島商店
最後に向かったのは、レトロな雰囲気が上田紬にもぴったりな上田銘菓のお店「飯島商店」です。明治の終わり頃に生まれた「みすゞ飴」は、こだわりの国産果実を使って作られる和風のゼリー菓子。ぎゅっと濃厚で、芳醇な香りが楽しめます。

大正13年(1924年)に飯島商店の本社ビルとして建てられた本店は、国指定登録有形文化財に登録されている上田駅前のランドマーク的存在。
シャンデリアの灯る店内は、華やかな洋風文化と和の落ち着きが調和し、上田紬もしっくり馴染んでいます。

店内にはジャムの試食や、好みのみすゞ飴を詰めて購入できる体験型のコンテンツも。

本店でしか購入できない生みすゞ飴もゲットしました。通常のみすゞ飴よりも軽やかな口当たりで、果物のみずみずしさを感じられる味わい。
お店の方からは、「薄くスライスをして、バケットに添えたり、クリームチーズと合わせても美味しい」と教えていただきました。

飯島商店 上田本店
住所:上田市中央1-1-21
電話番号:0268-75-7620
営業時間:10:00〜18:00
定休日:年中無休(12/31午後、1/1を除く)
HP:https://misuzuame.com/

上田紬を着て、ちょっぴり特別な気分で過ごす上田市の休日。
華やかな装いは、お店の方との会話のきっかけにもなり、いつもよりさらに街とつながって観光を楽しめたように思います。
お出かけの際にはぜひ、カメラやスマートフォンをお忘れなく。