2020年6月19日、上田市の塩田平が日本遺産に登録されました。
この日本遺産とは、単に地域の伝統や文化財を保護するためのものではなく、地域の歴史や風土に根差して受け継がれてきたストーリーを認定するもの。
信濃国分寺から生島足島神社、別所温泉までを通るレイライン(夏至の朝、太陽が日の出の際に地上につくる光の線)上に多くある神社仏閣。そして雨乞いの祭り等に見られる、降水量の少ない風土で身近な山々に宿る龍神と密接に関わってきた塩田平の人々の暮らしなど、様々な祈りのかたちをまとめたストーリーが認められ、登録に至ったのです。
こうして塩田平に多くの寺社が建てられ、中国の高僧や多くの学僧が訪れたのには、別所温泉の存在も大きく関わっていて、温泉の楽しみがあったからこそ、この地を訪れたのであろうと推測されています。一説では「別所」の名も「特別な場所」から付けられたんだとか。
今回は、そんな聖地・別所温泉で早朝の座禅やヨガを体験し、さらにパワーをもらおう!という、神秘的でちょっと特別な体験をご紹介します。
信州最古の禅寺で座禅体験
信州最古といわれる曹洞宗の禅寺・安楽寺。鎌倉時代には相当な規模を持ち、「信州の学海」といわれる、仏教や禅宗文化の中心道場であったそう。境内の奥にある、日本で唯一の木造八角三重塔は国宝に指定されています。
そんな安楽寺で行われているのが座禅体験。
座禅をする“座禅堂” は、そもそも修行僧の寝食の場であり、安楽寺の座禅堂は昔ながらの造りをしています。
入り口の紙には、写真の「禅とは心を静かにする道」とあるように、禅についての印象的な言葉が書かれていました。
さっそく中に入り、自分の座る場所に着いて、ご住職から座禅の流れを教わります。順を追って丸い座布団(座蒲<ざぶ>)に座り、足を組み、姿勢を整え、鐘の音を合図に座禅がスタート。
座禅中は頭のてっぺんを天井に着き上げる気持ちで座り、目は半分開いて前方45度くらい下の位置を見るようにします。そしてゆっくりと鼻から息を吐きだし、呼吸を整えます。
雑念が次々と湧いてきますが、なるべく呼吸に集中して、無の境地へ……。気がついたら30分が経過し、座禅終了の合図が鳴りました。
最後に激励の意味をこめ、警策で軽く右の肩を叩かれますが、痛くないのでご安心を。ご住職の有難いお言葉をいただき、座禅堂を後にしました。
「心を亡くす」と書いて「忙しい」というように、普段忙しい人ほど、座禅の時間はおすすめです。ふしぎと頭もクリアになり、心が整ってくる心地がします。
太陽のパワーを浴びながらヨガでリラックス
もうひとつ、別所温泉の朝時間にパワーをもらえるのが早朝ヨガ。
安楽寺そばの横道を入った先にある、別所神社で開催。別所神社は縁結びの御利益があるといわれ、清々しく厳かな雰囲気が漂います。
ヨガを行うのは、拝殿脇にある神楽殿。高台に位置しているため、神楽殿からは“信州の鎌倉”といわれる塩田平や山並みが見渡せ、眺望抜群です。
「息を止めないように注意して、鼻から息を吸って、鼻から吐き出しましょう」
早朝6時30分、朝日をいっぱいに浴びながら開放的な気分でスタート。
先生に倣って、さまざまなポーズを取っていきます。
深い呼吸を意識しながら、普段使わない筋肉を伸ばしていくと、だんだんと体が温まってきます。
もちろん初心者でも大丈夫。体勢が辛いときは無理をせず、気持ちのいいところまで行いましょう。体の細胞が目覚め、活力が湧いてくるようです。
「最後にまた深呼吸をして終わりましょう。ありがとうございました」
あっという間の1時間。
神聖な神社で太陽のパワーをもらいながら、別所温泉でしか体験できない早朝ヨガ。心も体もすっきりし、清々しい気分で一日を始められそうです。
宿泊し、2日目の朝の参加がおすすめ
別所温泉といえば、全国でも珍しい本堂が北を向いた北向観音や大湯薬師堂、足湯、カフェ、雑貨屋などが点在しています。日帰りもいいですが、せっかくならゆっくり宿泊して座禅やヨガに参加するのがおすすめ。温泉宿もたくさんあるので、お気に入りを見つけてみてください。
普段慌ただしく生活するなかで、自分の心と体を癒す時間を持つことはとても大切なこと。温泉という大地の恵み、そしてレイラインが通る太陽のエネルギーを浴びながら、ヨガや座禅でリラックス。みなさまもぜひ体感してみてはいかがでしょうか。