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「菅平(すがだいら)高原」といえば、冬はスキーやスノーボード、夏はラグビーやサッカー、陸上など、スポーツの聖地として知られる高原です。大会や合宿など多くのスポーツ選手でにぎわう夏の菅平ですが、涼しい高原の避暑地として、観光できるスポットも点在しているのをご存知でしょうか。
今回は緑が美しい菅平高原で、子ども連れのファミリーやアウトドア派の友人・恋人同士でも楽しめる1泊2日の旅をご紹介。自然を満喫しながら美味しいものも堪能して、時間や体力、希望に合わせてリフレッシュできる高原の魅力に迫ります。
~菅平高原について~
本州の中央部に位置する菅平高原は、標高1,250mから1,650m、上田市と須坂市の境に広がる高原です。近隣の浅間高原や志賀草津高原と合わせて「上信越国立公園」に指定されていて、さまざまな動植物が見られる自然豊かな環境が残ります。
絶景スポットのひとつ、「ダボスの丘」にのぼる途中。丘の向こうに山々が連なる
北陸新幹線が停まる「上田駅」からはバスで1時間弱。自家用車は、上信越道「上田・菅平IC」か、中央道「須坂長野東IC」からそれぞれ30分ほどでアクセスできます。
ゆるやかなカーブを繰り返しながらのぼる峠道、車窓に見える濃い緑も、夏の菅平を訪れる楽しみのひとつかもしれません。
上田方面からは、地域の暮らしを支える「菅平ダム」や滝壺近くまで散策できる「唐沢の滝」など、清涼感ある水辺の景色も楽しめます。
高原に到着すると、目に飛び込んでくるのは山々の麓に整然と広がるレタスやトウモロコシなど高原野菜の畑たち。飲食店やホテル、土産物屋などが並ぶ中心地で道が左右に分かれ、奥に進むほど自然が豊かになっていきます。
レタス畑の間をサイクリング。広々と、牧歌的な光景に心癒される
「スポーツの聖地」と呼ばれるだけあって、高原内にはグラウンドも点在。道の脇を鍛え抜かれたラガーマンが歩いていたり、ランニングをしている人たちがいたり。ちょっとした別世界が楽しめるのも夏の菅平の魅力です。
ちなみに道中にあるコンビニは、夏合宿にくる学生やスポーツ選手が爆買いをする影響で、「夏の売り上げ全国1位を叩き出す」なんて噂もあるそうです。
【1日目】
花の百名山「根子岳(ねこだけ)」の登山を満喫
時間と体力がゆるすならまずはここ。1980年に田中澄江が書いた『花の百名山』に登場する根子岳の登山に挑戦してみませんか?
初心者におすすめの「牧場コース」は、山頂まで往復4時間ほどの道のり
坂道の途中で牛と遭遇。運が良いと柵のすぐ向こう側、迫力満点の距離で会うことができる
春から秋にかけて次々に花ひらく高山植物に加え、それらの間を飛び回る蝶や、のんびり草をはむ牧場の牛がお出迎え。
登りはじめは急な坂道が続きますが、30分ほどで到着する「展望テラス」は一見の価値ありの絶景スポットです。
体力に自信があるならばさらに2時間弱でアクセスできる山頂へ。ダケカンバの林を抜けて岩地を登り切ると、善光寺平の向こうにそびえ立つ北アルプス、浅間山や八ヶ岳、北信五岳などの山々を一望することができます。
挑戦しやすい山ですが、現地では入山料(300円/1人)や入山届が必要なほか、熊よけの鈴や靴など登山用の装備を推奨しており、慣れている方と登るほうが安心。安全で穏やかに、みんなが楽しめる登山を心がけたいものですね。
高原のソフトクリームに舌鼓

ソフトクリーム 500円
夏、高原、牧場といえば真っ白なソフトクリーム!根子岳の登山口でもある「菅平牧場」では、敷地内の売店で、搾りたての牛乳を使って作られたソフトクリームが食べられます。
濃厚な甘さのソフトクリームは、登山のあとのご褒美にもぴったり。通常のコーンやワッフルコーンのほか、ソーダやコーヒーと合わせたフロートもおすすめです。
周囲は牛たちのいる草原が広がり、木漏れ日が美しい白樺の林にテーブルとベンチもあり。のんびりゆったり、リフレッシュがてら足を運んでみてはいかがでしょう。
菅平牧場
住所:長野県上田市菅平高原
営業時間:5~10月/8:30~17:00(閉場)
定休日:期間中無休
電話:0268-74-2356
料金:大人300円/小・中学生100円(牧場に入る場合も入山料がかかります)
チーズに溺れるハンバーガー
1日目のお昼には、ボリューミーながらペロリと完食できてしまう絶品の「ハンバーガー」をおすすめしたい。
1989年に土産物屋としてオープンした「Dimond Dust Cafe」は、産地と無添加にこだわった安心安全なおいしいメニューが揃うカフェです。
メイン通り沿いにあって、駐車場もしっかり完備されているのでアクセスも安心
テラス席はもちろん、店内もワンちゃん同伴OKのため、愛犬家の方もワンちゃんと一緒に食事が出来るのが嬉しいところ。
暑い日や急な雨でも安心して立ち寄れるのも魅力です。
今回いただいたのは、配合にこだわった2種類のチーズがあふれ出る「贅沢チーズ2倍のチーズバーガー」。
シンプルに塩と片栗粉のみを使った牛肉100%のパテは、ギュッと旨みが詰まったジューシーな仕上がりで食べ応え抜群。しっかりがっつり「お肉を食べている!」という幸せに浸れます。
一緒に挟まっているのは、産地を厳選した新鮮な野菜。レタスは菅平高原産で、毎朝農家さんから届けられるそう。隠し味に洋ナシが入った自家製ソースとチーズのコクがよく合います。
ドリンクを合わせるならば、クリアでしっかり苦味のあるアイスコーヒーでキリッと。
マスターが土産物屋からカフェに転身をする際、とくに力を入れたのがコーヒーで、こだわりのあまり焙煎工場から手作りをしたというこだわりよう。
メニューには厳選された各国の豆がずらりと並びます。提供される食器も一つひとつ物語を感じる素敵なカフェでした。
Diamond Dust Cafe
住所:長野県上田市菅平高原1223-6358
営業時間:10:30 – 19:00(時期によって変動あり・Googleマップ参照)
定休日:4〜7月 木曜/12〜3月・8月 無休
電話:0268-74-2873
緑の芝生が美しい「アンダーアーマー菅平サニアパーク」を見学
菅平高原の観光振興を目的に、1999年の5月にオープンしたサニアパーク。標高1,303mに位置し、「SUN(太陽)」に「NEAR(近い)」からサニアパークと名付けられた経緯があるのだとか。
スポーツで賑わう菅平高原のシンボル的施設であり、グラウンド5面と陸上競技場、マレットゴルフ場からなる「総合運動公園施設」として多くの人に親しまれています。
入場は一般の人もOKで無料ながら、施設には日本代表チームクラスが合宿に訪れるほか、各種大会の会場としても使用されているので、運が良いと見応え抜群の試合が展開されていることも。
グラウンドや競技場の周りには芝生の観戦スペースがあり、夏はタープテントを立てたりアウトドアチェアを置いたりして楽しむ人たちの姿も見られます。
メインシーズンは7月下旬から9月にかけて。憧れの選手を間近でみられるチャンスも?
アンダーアーマー菅平サニアパーク
住所:長野県上田市菅平高原1278-244
営業時間:通常期 9:00~18:00/繁忙期(7月20日~8月31日)8:00~18:30
定休日:火曜(7月1日〜9月15日は無休)
休園:11月1日〜4月28日
電話:0268-61-7090
予約困難!早めにチェックしたい菅平キャンプ泊のススメ
根子岳や四阿山(あずまやさん)を一望できる「菅平高原ファミリーオートキャンプ場」は、夏の菅平泊の人気スポット。
フリーサイトの横には小川があり、川遊びをする子どもたちもいるのだとか(※)。
丁寧に刈り込まれた芝が美しいフリーサイト。通常は一日10組までの受け入れで、余裕あるスペース取りが可能
のどかなロケーションはもちろんですが、人気の理由は、炊事棟や水洗トイレ、温水シャワーのほか、男女別の大浴場、洗濯機・乾燥機が揃うランドリーコーナー、山からの湧き水でドリンクや野菜などを冷やせる水場など、充実の設備にもありそうです。
一部でお湯も使える炊事スペース。敷地中央にあり、どのサイトからもアクセスしやすいのが嬉しい
犬や猫など、ペットと一緒の宿泊もOK。テント泊のみの受け入れで、周囲に余計な灯りはなく、夜は頭上に美しい星空が広がります。
高原の夜は想像以上に涼しいので、長袖や毛布など、防寒グッズをお忘れなくお持ちください。
もちろんキャンプは苦手という方は、高原にはホテルや旅館、ペンションなどの宿泊施設も多数あるので、利用シーンに合わせてお選びください。(夏は混むのでお早めの計画を!)
近くを流れる小川。山からの湧き水で夏もひんやり、近寄るだけで涼が感じられる
※川遊びは自己責任で、各自安全な装備を整えた上でお楽しみください。
菅平高原ファミリーオートキャンプ場
住所:長野県上田市菅平高原1223-2767
営業時間:8:00~21:00
営業期間:
【グリーンシーズン】4月末~10月末
【ウィンターシーズン】12月末~3月初旬
電話:0268-74-2408
「農産物直売所」で地元食材をゲット

甘みのあるシャキシャキのレタス。高原ならではの味を楽しみたい
「地元食材を入手したい!」と思ったら高原内の農産物直売所へ。レタスをはじめ、近隣で採れたばかりの夏野菜がお手頃価格で揃います。
ちなみに肉や魚、その他バーベキューの材料等は事前に仕入れてから来るのがおすすめです。
カネマ産商 菅平店
住所:上田市菅平高原1223-2092
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜
電話:0268-74-3465
【2日目】
「みょうけん星」のレンタサイクルで楽々
小学生くらいから楽しめるマシンもあり、家族でサイクリングに挑戦も可能
爽やかな風が気持ち良い高原気候。「せっかくなのに車移動ではもったいない・・」と思ったら、レンタサイクルはいかがでしょう。
菅平高原の中心付近にある「みょうけん星」では、3時間からレンタルできる自転車を用意しています。
バイク・ヘルメット・グローブの3点セットで貸し出しがあるので、動きやすい格好であれば手ぶらで気軽に利用できるのも嬉しいところ。
車だと見落としてしまいそうな景色やショップなどを、ゆっくり自転車に乗って散策してみてはいかがでしょうか。
利用の際は事前に問い合わせが確実です。初心者から経験者までいくつかのツアーや、不定期開催のナイトクルージングなどもあるのでチェックしてみては。
みょうけん星
サイクリングでリフレッシュ&リラックス
サイクリングの行き先としておすすめしたいのが、「みょうけん星」から自転車で5分ほどの場所にある「菅平高原自然館」。
菅平の歴史やそこに生息する野鳥、昆虫、植物などを学んだり、実際に探したり見たりできる体験施設です。自然館の入り口で声をかけると、周囲に咲く見頃の花などを教えてもらえるのでおすすめです。
菅平高原自然館
住所:上田市菅平高原1223-2276
営業時間:6月~9月、GWの9:00~16:00
料金:一般 200円/小・中・高校生 100円/障がい者割引あり
定休日:10月~5月、火曜
電話:0268-74-2438
クセになる人続出!MEL’sのカレー
2日目のお昼は「このカレーのために菅平を訪れている!」なんて、熱狂的なファンがいると噂の焼きカレーを食べに「MEL’s」へ。
創業は1987年。映画アメリカングラフティに登場するドライブインから店名を取ってスタート
アメリカンな店内には各所に店主手書きの注意書きやポップ、レトロなポスターなどが掲示され、見ているだけでもワクワクしてくる設え。
「元気になる御機嫌TOILET」は、ぜひ足を踏み入れてほしいスポットです。
予約は不可。カレーが売り切れ次第終了してしまうので、確実に食べたい場合は早めに行くのが吉
1988年に誕生した名物「焼きカレー」は、厳選の国産食材で仕上げた熟成カレーをベースにしたコク深い味わいが特徴。
辛みは少ないので、大人から子どもまで食べられそうです。ソテーされたご飯のなかには、ポテトやキャベツ、チーズが入っていて、熱々ホクホク、シャキシャキの食感も楽しい、ボリューム満点の一品でした。
上に「ナス」か「トマト」のトッピングが選べる焼きカレー。サラダ付き
辛いカレーが好きな場合は、別注文で頼める「悪魔の旨辛ソース」を合わせるのがおすすめ。
店内にあるQRコードから、制作秘話をまとめたYouTube番組が見られるので、そちらも合わせてお楽しみください。
焼きカレー屋MEL’s
住所:長野県上田市菅平高原1223-6088
営業時間:11:00~14:00/10:30~15:00(土曜・日曜)
(※売り切れの場合あり)
定休日:不定休
電話:0268-74-3505
絶景・ダボスの丘へハイキング
菅平にはいくつかの絶景スポットがありますが、ここ「ダボスの丘」もそのひとつ。
1930年に来日したオーストリアのスキーの名手、ハンネス・シュナイダーの業績を讃えたシュナイダー記念塔やスイス・ダボスとの姉妹都市提携を記念するダボスの塔が立っています。
スイスのダボスに似ていることから、「ダボスの丘」と命名されたのは今から100年近くも前のこと。当時の風景やダボスの地に想いを馳せつつのんびりハイキングを楽しむ
四阿山と根子岳をバックに佇む「ダボスの塔」。中に入ることができる
登ってさえしまえば草原に座ってのんびりしたり、周囲を散策したりして楽しめますが、頂上までの道のりはなかなかハード。
冬はスキー場としてオープンしている斜面を進むので、歩きやすい靴や格好、日差し対策などをしてから挑戦するのがおすすめです。
駐車場からすぐの急斜面からは登らず、少し回り込んだリフト線下の歩道より丘を目指してください。
ダボスの丘
住所:長野県上田市菅平高原1223-3729
電話: 0268-74-2003
歴史ある「白樺荘」のカツサンド
バスに乗り遅れそうになった宿泊客のために「カツレツのカツをパンに挟んで持たせたのが始まり」だというカツサンド
ダボスの丘からも程近い場所にある「白樺荘」は、もうすぐ100周年を迎える、菅平高原の中でも歴史あるホテルのひとつです。
宿泊のほかにレストランがあり、本格的なロシア料理や自家焙煎のコーヒーが楽しめます。
そんな白樺荘で50年ほど提供されているのが、ボリューム満点の「カツサンド」です。甘辛いソースがしっとり絡んだカツは、つい「もう一切れ・・」と手が伸びるおいしさ。
予約制でテイクアウトができるので、散策やトレッキングのお供におすすめです。
白樺荘
住所:長野県上田市菅平高原1223-2108
電話: 0268-74-2511
営業時間:
【平日】11:00~14:00LO(14:30クローズ)15:30~21:00LO(10:00クローズ)
【休日】10:00~14:00LO(14:30クローズ)15:30~21:00LO(10:00クローズ)
定休日:不定休
レトロバスでいただく揚げパンソフト
最後はやっぱり甘いものに癒されたい。そんな願いを叶えてくれるのが、菅清園「SUGA CAFE」の「揚げパンソフトドック」です。
提供されると同時に溶けはじめるソフトクリーム。美味しく食べ切れるかは、時間との勝負
かつて給食で出る日を心待ちにしていた、お砂糖たっぷりの揚げパン。そこにひんやり冷たいソフトクリームが挟まった夢のメニューです。
表面はカリッと中はふんわり、その場で揚げられたコッペパンに絡むのは、コクのある自家製ソフトクリーム。
夏はとくに、提供からすぐ溶けはじめるので注意が必要です。
そのままかぶりついても、パンをちぎってつけても美味。お店の横に置かれたレトロなバスで「いただきます」
店内にはカフェコーナーのほか、お菓子や雑貨などのお土産もたくさん。
店舗は中心エリアにあって駐車場も完備、バス停も近いので、旅の締めくくりにおすすめのスポットです。
駐車場は店前と横にあり。自家製造の「元祖 菅平まんじゅう」も名物のひとつ
菅清園「SUGA CAFE」
目が覚めてから、お天気を見てから、「今日は何をしようか」と計画を立てるくらいの、のんびりした空気感が嬉しい夏の菅平高原の観光スポットたち。
涼しい気候に誘われて、おいしいものや魅力的な人、景色、とっておきの出会いを探しに出掛けてみませんか。