山が色づき、冷たい風が吹きはじめる10月。食欲の秋がやってきます。上田市には、たくさんの和洋菓子店があることをご存知でしょうか？ここでは厳選した街のおいしい秋スイーツを紹介します。

多様な和洋菓子が揃う「献上菓舗 竹田」

4代続く老舗のひとつ、「献上菓舗 竹田」。名前の通り、明治神宮に毎年菓子を献上している、由緒ある街のお菓子屋さんです。
登記上の創業は昭和29年ですが、お店の歴史自体はあたり一面がまだ田んぼだったさらに昔から続いているのだとか。和・洋合わせて、約70品目100種類の商品が並んでいるというから驚きです。

「年齢に関係なく、みんなで食べておいしいお菓子がこだわり」と言うお店の秋のおすすめは、パッケージの秋らしさにもこだわった「焼きモンブラン」。
栗の渋川煮を丸ごと使った焼き菓子で、食感はしっとりねっとり。一緒に入っているのは栗の黄身餡で、緑茶やコーヒー、紅茶にも合う人気の商品です。

ほかにもお菓子屋さんに並ぶにはちょっと珍しい「おにぎり」は、開店と同時に買い求める人がいる昔からの定番商品。献上菓子に選ばれたどら焼き、季節の大福、栗の甘露煮が丸ごと包まれた「一粒栗」など、和菓子だけでもおすすめがたくさんあります。

洋菓子なら、生クリームロールやプリン。スタッフみんなでアイデアを出し合って生まれるお菓子は、どこかホッと懐かしく、お客さまの声を取り入れた優しい甘さが特徴です。

上田一の老舗「玉喜屋」

創業明治2年(1869年)。上田市で一番古い歴史を持つのがここ、「玉喜屋」。
「毎日同じ味を出すためには、その日の気候や素材の状態を見て、毎日違うものを作る必要がある」と話すのは、5代目店主の小林亮さん。
こどもが自分で買えるもの、例えばお団子やお餅のような、おやつの延長にあるものにこそ、力を入れていると言います。

人気商品のひとつは、ザクっと存在感たっぷりのクルミがアクセントになった「くるみ野クッキー」。パティシエだったという4代目が作ったこのクッキーは、素朴な甘味とバターの香りがたまらない人気の逸品。芳醇な香りとは裏腹に食べ応えはあっさり、50年近く多くの人から愛されています。

創業当初から作られているのは、ふっくらとした見た目から美味しい「神代(じんだい)酒まんじゅう」。麹で発酵させる製法は500年以上の歴史を持ち、京都から伝わったと言います。正確なレシピの配合はなく、口伝えで今日まで作り続けられ、今は七夕の時期に販売しているそう。またお店で一番人気は「くるみ団子」。早朝から多くの人が買い求めます。

できる限り上質な素材を、丹精込めて丁寧に扱う玉喜屋。地元の素材を使った商品も多く、季節や時代が変わっても、変わらぬおいしさが出迎えてくれます。

四季を表現した和菓子が魅力「御菓子処 千野」

上田市の四季や風土を大切に、お菓子を作り続ける「御菓子処 千野」。
上田駅からまっすぐ北へ、原町の信号の所にあり、街歩きの途中にも立ち寄りやすいお菓子屋さんです。創業は昭和初期。当初は洋菓子も扱っていたといいますが、現在は可愛らしい和菓子と上生菓子が出迎えてくれます。

おすすめの秋スイーツは、真田氏由来で全国に隠れファンの多い「真田石」。
上田城跡公園の東虎口櫓門の横にある真田石がモチーフになったお菓子です。贅沢にあしらわれているのは東信地域の特産品、クルミ。カリッとした歯応えと合わさる柔らかい不思議な食感は、クッキー生地に包まれた黄身餡。ふわっと香るバターの風味も、クセになる一品です。

「和菓子の魅力のひとつは、身近な自然を題材にした繊細で可愛らしい見た目」と教えてくださったのは、3代目店主の千野雅芳さん。
例えば秋に登場する「柿」の上生菓子は、緑から薄い橙を経て、熟した赤に近い色へと、季節の移ろいに合わせて徐々に作り変えるのだと言います。季節ごとに何度も足を運びたくなる、美しい商品が揃っています。

スイーツフェアで上田の秋を満喫しよう！

紹介した3店舗も含め、上田市観光会館売店では市内10店舗のお菓子が一同に集まる「秋のスイーツフェア」を開催しています。過去のスイーツフェアから新たなお菓子も加わり、さらにスイーツUP（パワーアップ）！
期間は2023年10月14日(土)から11月12日(日)までの約１ヶ月。ちょっとした手土産やお土産にはもちろん、おうち時間のお茶のお供に、食べ比べも楽しい季節のお菓子たち。上田市のおいしい菓子をこの機会に、ぜひ手にとってみてください！

※2021年に取材・公開した情報の一部を2023年版に更新しています。