2020年、文化庁の「日本遺産」に認定されたストーリーを有する上田市・塩田平

上田市の西南に広がる塩田平エリアは、田園風景が広がる風光明媚な地にあり、西端には信州最古ともいわれる「別所温泉」が湧出しています。

付近は古くから仏教文化が花開き、鎌倉時代から室町時代にかけて造られた国宝や重要文化財、県宝などが数多く点在していることから「信州の鎌倉」とも呼ばれています。
中部日本で最古の木造建築物、国内唯一の八角三重の塔、希少な石造多宝塔など、当時の面影をとどめた歴史ある寺社や史跡は、どれもひと目見る価値があります。

その歴史的経緯や地域の風土に根ざし、世代を超えて受け継がれている伝承・風習が貴重なものと認められ、それらをつむぐストーリーが、2020年6月に文化庁より日本遺産に認定されました。

日本遺産とは

日本遺産とは、文化庁が認定した、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーであり、各地域の魅力あふれる有形・無形の文化財群を、地域が主体となって整備活用し、国内外へ発信することで地域の活性化を図るものです。

上田市の日本遺産ストーリー概要

古来から「聖地」として多くの神社仏閣が建てられ、「信州の学海」とまで評された塩田平は、独鈷山と夫神岳から扇状に開ける穀倉地帯でありながら、日本有数の少雨地帯として水の確保に悩まされてきました。

先人たちは、わずかな雨水も無駄にすまいと百余のため池をつくり、ため池を守るために人柱を捧げたこともありました。ときには路傍の地蔵をため池に投げ込んだり、大松明を灯して祈りを捧げたりと、さまざまな形で龍神に雨を乞い願ったのです。雨の恵み、太陽の恵みを神仏、ことに龍に祈る信仰は、今も脈々と残されています。

山のふもとにある信州最古の温泉といわれる「別所温泉」、「国土・大地」を御神体とする「生島足島神社」、「大日如来・太陽」を安置する「信濃国分寺」は、1本の直線状に配置され、レイラインをつないでいます。夏至と冬至に、鳥居の中を太陽の光が通り抜け、神々しくぬくもりのある輝きを享受できるのです。

先人たちが、この地が特別であると後世に伝えようと遺した様々な仕掛け、そして聖地として多くの寺社や信仰の形が残るこの場所は、訪れる人びとにパワーをチャージさせてくれます。

日本遺産・信州の鎌倉おすすめスポット

生島足島神社

「生島大神」と「足島大神」の二神が祀られている信濃屈指の古社。日本列島の中心に位置しているといわれ、御神体は大地。武田信玄の「起請文」は国の重要文化財に指定されています。

【文化財】
●生島足島神社歌舞伎舞台(県宝)
●生島足島神社本殿内殿(県宝)
●生島足島神社摂社諏訪社本殿、門(県宝)

前山寺

弘法大師が開き、鎌倉時代に長秀上人が発展させたという前山寺は、「未完成の完成塔」といわれる国の重要文化財・三重塔があります。また、藤をはじめ数々の花の名所としても知られています。

【文化財】
●前山寺三重塔(国重)
●前山寺参道並木(市指定 天然記念物)

中禅寺

独鈷山のふもとにある中部日本最古の木造建築物。本尊の薬師如来座像、神将像とともに国の重要文化財に指定されています。鎌倉初期の創建とされ「方三間宝形作り」という様式で建築されています。

【文化財】
●中禅寺薬師堂(国重文)
●中禅寺木造薬師如来坐像(国重文)
●中禅寺木造金剛力士像(県宝)

常楽寺

別所温泉・北向観音の本坊。鎌倉時代には天台数学の道場として栄えました。境内には国の重要文化財に指定されている石造多宝塔があります。

【文化財】
●常楽寺本堂(市指定 建造物)
●常楽寺石造多層塔(市指定 石造物)
●常楽寺石造多宝塔(国重)

北向観音

厄除観音として昔から信仰を集め、長野市善光寺と向かい合うように本堂が北を向いている事から北向観音と呼ばれるようになりました。善光寺と合せてお参りするとさらにご利益があるといわれています。二年参りや節分には多くの善男善女で賑わいます。境内には「愛染かつら」の大樹や多くの歌碑があります。

安楽寺

創建は1290年代とされ、現存する日本唯一の木造八角三重塔は長野県の「国宝第一号」。禅宗寺院であるにも関わらず一層内部に大日如来像が安置されており、太陽信仰との関連をうかがわせる。

【文化財】
●安楽寺八角三重塔(国宝)

モデルコース


日本遺産・信州の鎌倉を巡るモデルコースを紹介します。

パンフレット