一般社団法人 信州上田観光協会 うえだトリップなび

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千曲川の伝統漁法「つけば」 つけば小屋で川魚を味わう

上田市の中心を東西に流れる千曲川。美しく流れる清流には、春から秋にかけて、悠々と川を泳ぐウグイや鮎の姿と、漁や釣りに勤しむ人々の姿が見受けられます。
上田市近郊で江戸に始まり、それら川魚を独特の漁法で獲る “つけば”文化。今も変わらず漁を続ける「鯉西」のつけば小屋に伺いました。

 

▶ ▷伝統漁法“つけば漁”とは

つけば漁で狙うのは繁殖期を迎えるハヤやウグイ。雪解けが終わる4月下旬から始まります。関東近辺は多少聞かれる漁法ですが、長野県、とくに上小地区で盛んに行われた歴史があるのだそう。


「つけばっていうのは種付け場の意味です。ハヤはきれいな玉砂利がある場所に産卵する習性があって、昔からこの時期、河床に魚の集まる場所っていうのがありました。その環境に似せた仕掛けを作って漁を始めたのが江戸時代。餌を使わない、神秘的で理にかなった漁です」と、鯉西の西沢徳雄さん。


集まってくる時は普通の色をしているハヤは、つけばに入ると、真っ赤な婚姻色が浮かび上がります。これは産卵前、一番脂が乗っていて美味しいサイン。


「婚姻色のハヤ特有の匂いみたいなものがあって、それにつられて自然と魚が集まってくるんです。だから人間が一番気を使うのは、きれいな砂利の管理。1日に2・3回、朝は5時から始まってこまめに掃除をしています」

つけばの仕掛けは石や枝、布などを使って作ったもので、地形や水の流れを見ながら仕掛ける場所が決まります。ポイントは魚の道へ作ること。

「デリケートな作業で力仕事なので、夏が終わる頃にはボディビルダーみたいになっていますね」と笑う西沢さん。
6月末の鮎釣り解禁とバトンタッチするように終わりを迎えるつけば漁。「ハヤがいる川には鮎がよく育つ」とも言われているのだそうです。

 

▶ ▷新鮮な川魚をその場でいただく“つけば小屋”

つけば漁と合わせて川縁に並ぶ“つけば小屋”は、川魚をその場で捌いて調理し、提供してくれる食事処です。

「10年前で、小屋は10軒くらいあったかな。夏の初めに建てて秋に壊す、並ぶ様子は風物詩でしたよ。海がない代わりの川魚は宴会の定番で、“花見の後はつけば小屋で一杯”がツウだった時代もありました」

高齢化や担い手不足で、上小地区に今も変わらず建って壊しているのは鯉西だけ。

「昔は仕掛けだけでも上小地区に35カ所くらいあったんだけど、今はすっかり減ってしまって。廃れていくさまを見ていると、いい川と大事な文化を、自分たちが守り伝えていかないとと感じますね」

 

▶ ▷鯉西の歴史と上田市の風土

元は店名にあるとおり“鯉”を中心に扱っていた鯉西。上田市の塩田地域に多くあるため池を活用するために鯉の養殖をはじめ、昭和30年代後半は全国で鯉の生産量がトップだったといいます。

「祖父も親父も上田電鉄に勤めていた時期があって、地域に根ざした人でしたね。本格的に川魚を始めたのは親父の代。先輩からの縁で漁の権利と小屋を譲り受けたのがきっかけで、鮎とハヤの料理を出すようになっていきました」

西沢さんはこの仕事に就いて37年。100人まで収容できるという広い店内が、鯉西のつけば小屋の特徴です。

ここ数年はゲリラ豪雨など環境の変化、ブラックバスによる生態系の変化もあって獲れない時期が続いていましたが、「今年は川も澄んで育ちやすい環境が戻ってきた」と西沢さん。「千曲川は去年の倍くらい稚魚を放しているので、6月末からは鮎も期待できるのでは」と、笑顔を見せてくれました。

 

▶ ▷季節によって変わる川魚を楽しむ

鯉西のつけば小屋では、6月末まではハヤ、7月から10月は鮎をメインにカジカやドジョウなど、千曲川で獲れた魚料理がたくさん並びます。定番は川魚の塩焼き、刺身、天ぷら、唐揚げ。ちょっと変わったところでは、田楽や天日干し、発酵料理の“うるか”などもいただけます。

炭火を使って焼き上げる塩焼きは、屋外にあるつけば小屋ならではのメニュー。直前まで泳いでいた魚は匂いもなく、パリッと香ばしい皮とふっくら柔らかな白身がたまりません。


一番人気の唐揚げはカリッと香ばしく、お酒のお供にもぴったり。天ぷらは季節の山菜や野菜が添えられ、上田市の味を丸ごと満喫できる嬉しいメニューです。


「やっぱり季節ごと、“獲りたて”“焼きたて”“捌きたて”を食べてもらえるのが嬉しいです。このロケーションで天然の魚が食べられるのは、つけば小屋何よりの魅力ですよね」と西沢さん。


もうひとつのオススメは、鯉西オリジナルの「鮎ラーメン」。出汁を取るのに鮎を50匹使う贅沢な一品で、トッピングにも鮎の塩焼きが丸ごと一匹乗っています。六問銭の形に並んでいるのは、もちっとした鮎のつみれ。鮎の旨みを丸ごと閉じ込めた人気のメニューだといいます。


コロナ禍の今、屋外でスペースを取っているので安心してくつろげるのも、つけば小屋の魅力。室内でゆっくり食事を楽しみたい方は、鯉西の本店もあります。今後はテイクアウトや宅配も検討しているという西沢さん。
ウィズコロナの時代に、伝統的な川魚の新しい楽しみ方を模索し提案し続けている鯉西。歴史に想いを馳せながら、日々変化する千曲川を、目と耳と舌で楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

INFORMATION

 
鯉西 本店(1F売店 2F食事処)
住所
住所:〒386-0025 長野県上田市天神1-9-19
TEL
0268-22-5124
営業時間
1F 9:00~19:00
2F 11:00~14:00、17:00~21:00 ※夜の営業は要予約
定休日
火曜日
関連サイト
鯉西
季節料理つけば小屋
TEL
0268-23-2438
営業時間
11:00〜21:00(夜営業は予約がなければ18:00まで)
定休日
なし
備考
営業期間 4月下旬〜10月中旬